おもいがけない展開。
ヘンゼルとグレーテルが森で見つけたお菓子の家。読後30年ほど経った今でも、道を歩いていて角を曲がるたび、路地をのぞくたび、ついつい「今日こそ見つけてしまうんじゃないか」と期待してしまいます。
例えば自由が丘だとか、裏原宿あたりでなら「お〜、おしゃれな店」で終わりでしょうが、同じ家の形のスタンプを並べたような、道に迷ったら心細くなるほど似たような風景が延々と続く住宅地で歩いているときに見つけたら、それはもう値千金の「お菓子の家発見」だといえるでしょう。
はい。文化の日に、ついに見つけてしまいました。ヤンママと鳩が多く、パチンコ店と焼き鳥店と美容室とブティックが供給過多なこの町に、「どうして1軒もないのか」不思議だったパン屋さんを。駅ビルやスーパーの、デニッシュや惣菜パンが外気にさらされて乾燥しているようなのじゃなく、次々とパンが焼き上がって町のひとが(となり町からも車で)こぞって買いに来る、活気のあるベーカリーを。
郵便受けに入っていた、ミシン修理の特別相談会のチラシ。会場を示す地図の目印のひとつとして、「パン屋さん」という表記があったのです。「パン屋といっても、駄菓子やヤマザキパンが置いてある店なのでは?」と思いつつ少し期待をもってネットで調べてみましたが、この界隈にパン屋があるという情報はなし。今までも再三ネットで同じ結果だったのです。評判のパン屋なら載らないわけがない、しかも駅へ向かうのとは反対方向にさらに奥へ行くなんて立地的にどうなの?と・・。
だから、地図を頼りに10数分歩いて、ベーカリーの看板とやさしい灯りが見えた時、気分は完全にグレーテルでした。店内の雰囲気も、味もサービスも文句なし。焼きたてのパンを確保できるだけで、ひとはこんなに幸せ気分になれるものなんですね。ネットでは見つけられないものが、この世にはまだまだいっぱいありそうです。
*当初ヘンデルと書いていましたが、ヘンゼル(とグレーテル)だとご指摘いただき修正しました。言われてみればそうでした。はは。
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